楢﨑 瑞の日記
つながっていくもの。
テレビの前で大興奮しました。
夏の甲子園、山口県代表の高川学園がやってくれましたね。
15日に行われた1回戦、石川県代表 小松大谷との試合は、7対6でサヨナラ勝ち。
高川学園は春夏通じて、甲子園初勝利。
山口県勢としては、夏の甲子園3大会連続の初戦突破となりました。
序盤からリードを許す苦しい展開でしたが、
粘って粘って…の素晴らしい逆転勝利でした。
その原動力の1人が、エース・河野颯(かわの・はやて)投手。
県大会を一人で投げ抜き、この試合も完投したエースは、試合後半から徐々に調子を上げ、
5回以降は被安打1本という素晴らしい投球で、チームを勝利に導きました。
きょうはその河野投手のグローブにまつわるお話をひとつ。
河野投手が甲子園で使っている黒いグローブ、
これは「ある野球部OBから託されたもの」なんです。
そのOBとは…ことし、東北福祉大学から東京ヤクルトスワローズに
ドラフト2位で入団した、山野太一(やまの・たいち)投手。
高川学園が5年前(2016年)に夏の甲子園に出場したときのエースですね。
OBである山野投手から託されたグローブを使って、河野投手は甲子園で躍動し、
山野投手が果たせなかった「甲子園での勝利」を達成したわけです。
…と、ここまでは様々なメディアでも伝えられています。
ただそこにはもう一つエピソードがあって…
実はその山野投手も、
甲子園を決めた5年前の夏、あるOBのグローブを使っていたんです。
そのOBとは、西岡大輔(にしおか・だいすけ)コーチ。
今回の甲子園では、指導者の一人としてベンチに入っています。
河野投手や山野投手と同じく、
高校時代はサウスポーとして活躍していた西岡コーチ。
ただ、甲子園出場の夢はかなわず…。
その後、大学に進学し野球を続けた西岡コーチ。
4つ年下の山野投手にグローブと、甲子園への思いを託しました。
高川学園は中高一貫の学校で、
中高それぞれの野球部は同じグラウンドを使って練習をしています。
西岡コーチが最後の夏を迎えた2012年、
山野投手は高川学園中学の2年生。
時にはともに練習をすることもあった、
西岡コーチをはじめとした「お兄さん」たちが夏を戦う姿に、
「強く影響を受けた」と山野投手も高校時代に話していました。
そして2016年、
山野投手は西岡コーチから託されたグローブを使い、
エースとして、高川学園を初めて夏の甲子園に導きます。
教育実習生として母校に帰ってきていた、西岡コーチの目の前で決めた山口大会の優勝でした。
その山野投手の姿を、羨望の眼差しで見ていた高川学園中学の1年生が…
そう、今年のエース、河野投手です。
山野投手は夏の甲子園が終わった後、5つ年下の中学生、河野投手にグローブを託しました。
かつて、自分が西岡コーチに思いを託されたように、です。
グローブと甲子園への思いを山野投手に託した西岡コーチ。
そのグローブを使って甲子園出場を果たした山野投手。
そして今年の夏、
山野投手から新たに託されたグローブを使って、甲子園初勝利を挙げた河野投手。
先日の高川学園の勝利は、
歴代のサウスポーたちが繋いできた思いが成就した瞬間だったんですね。
「そうやって、世代を越えて繋がっていく思いもあると思うんですよね。
そのつながりが、高川学園の最大の武器だと思っています」
甲子園に行く前、そんな風に話した西岡コーチ。
とりもなおさず、それこそが高校野球の最大の魅力なのかもしれません。
さあ、ここからは、河野投手自身が思いを残す番です。
新しい歴史を作った今大会。次はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか。
山口県の代表校、みんなで応援しましょう!