楢﨑 瑞の日記

目的と手段

年末の話になりますが…
ありがたい賞を頂戴しました。

「J2ベストゴールコメンタリー・オブ・ザ・イヤー」


2022年のJ2リーグで生まれた1136ゴールシーンの中から
もっとも優れた実況・解説をJリーグとDAZNが選出するもので、
去年2月27日に行われた第2節 レノファ山口FC vs. ブラウブリッツ秋田での
「山瀬功治選手のゴールシーン」が、年間ベスト実況・解説として選ばれました。


何か賞を頂くのは、高校の読書感想文以来。
ましてやアナウンサーとしては初めてです。

こうしてトロフィーを頂いて、ようやく実感が湧いてきました。

嬉しいという感情もありますが、
「ホッとした」というのもまた正直な感想です。


広島で記者をしていたころ、

アナウンサーになるために転職をすると言った私に、
あるアナウンサーの先輩が、こんな話をしてくださったことを覚えています。

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「僕がアナウンサーとしていつも心掛けるのは【よい脇役でありなさい】ということ。
 これから君はスポーツ実況をすると思うけどその時に忘れないでほしいのが、
 主役は選手であり、競技であり、視聴者だという事。
 君が発する言葉は、主役である選手の努力や凄さをより輝かせる。主役である競技の魅力をよりわかりやすく伝える。
 そして視聴者がテレビを見る時間をより楽しくできる。そして、まるで逆の結果にしてしまう事もある」

「【よい脇役】でありなさい。誰に気づかれなくてもいいから、たとえ評価されなくても、それだけは忘れないで」

「もし【自分がよく映りたい】とか、【自分がテレビに出るため】とか、その気持ちに支配されたら、潔くアナウンサーを辞めなさい」

「アナウンサーの中にもそういう人はたくさんいる。でも、目的と手段を間違えてはいけないよ。
 それができたら、きっといいアナウンサーになれる」
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「よい脇役でありなさい」
アナウンサーになって9年。いまも尊敬してやまない先輩から言われた言葉を、
どんな時も大切にしてきました。
今回の受賞で、いちばん最初に思い浮かんだのも、この言葉です。

受賞理由には
「山瀬功治選手のJリーグ23年連続ゴールという偉大な記録を、抑揚と臨場感ある実況で的確に伝えた」とありました。

23年連続ゴールの偉大さ、興奮、喜び…
それが見てくださっている方々に伝わっていたのなら、それは「よい脇役」たり得たということ。
受賞そのものはもちろん、その受賞理由を誇りに思います。