番組審議会とは

放送番組審議会は、放送のもつ公共的使命、放送番組の適正を審査し、番組向上を図ろうという機関です。
yabの放送番組審議会は、県内在住の7名の皆さんで構成され8月と12月をのぞき、毎月1回の定例会として行われています。

委員長

吉本秀子(山口県立大学国際文化学部 教授)

副委員長

矢野道代(矢野健康体操研究会会長)

委員

藤田敏彦(富士商株式会社 会長兼社長)
酒田義矢(ユーピーアール株式会社 社長)
小島達也(朝日新聞山口総局長)
三坂啓司(山口県総合企画部次長)
江﨑克彦(山口新聞山口支社長)

第259回 放送番組審議会

概要

開催年月日 2019年6月25日(火)
開催場所 山口朝日放送本社 役員会議室
出席委員名 吉本秀子委員長
矢野道代副委員長
藤田敏彦委員
小島達也委員
江﨑克彦委員
会社側出席者 代表取締役社長 天野尚彦
取締役編成業務局、技術局担当 芳沢重雄
取締役総務局担当 小川容
取締役報道制作局担当 報道制作局長 諸岡亨
編成業務局長 近藤寛治
編成部長 益野勝義
報道制作局報道部チーフプロデューサー 高橋賢
番組審議会事務局長 赤穴泰博

議事録

課題番組の「回天 二つの心」について意見交換が行われ、おおむね次のような意見が出された。

 

・戦争を語り継ぐのはメディアの責務だと思うが、山口県が舞台になった回天を素材に、地元メディアがこうした形で発信したという点で、たいへん有意義な番組だったと思う。県外の視聴者や、回天を知らない若い世代に事実を知らしめたという意味でも、たいへん良かったと思う。

・前半は回天に関する背景が語られて、後半になって「二つの心」というテーマが出てきたが、回天を知らなかった人にとっても、非常に分かりやすく番組が構成されているという感じがした。

2017年に放送した回天の番組は、非常に衝撃的で記憶によく残っていた。今回は、塚本太郎さん一人に照準を当てて番組を作ったことによって、「二つの心」というテーマが鮮明に浮かび上がってきたと思う。

・戦争を伝える資料には、紙、写真、遺品といった静的なものが多い中で、この番組は、特攻隊員の肉声を手がかりにして、戦争や兵士の実態を今に伝える力作だと思った。特に、当時を知る人の年齢が90歳代で、残された時間が本当に少ない中、非常に貴重な記録にもなったと思う。

・あまり人の姿が見えない回天記念館で、肉声を聞いた来館者から、よくこれだけきちんとした内容のコメントを取材したものだと感心した。

・前回の番組と比較すると、今回は現代から過去を投影させる視点が、新しく集められていたように思う。母の立場、あるいは自衛隊員など、見方が多角的に描かれていて、それがより広い視聴者の心に訴えかけるような番組になっていたのではないかと思う。

といった意見が出された。その一方で、

・塚本さんが、肉声を残した、「二つの心」を残したという事実に対して、そこ

から今の人々が何を感じ、何を考えるかという点について、もう少しコメント

を集めたほうがよかったのではないかと思った。

・「二つの心」というテーマだったが、実は誰にも言えない「第三の心」もあったのではないかと思う。例えば、当時の戦況に対する批判とか、回天の作戦に対する批判といった、恨みつらみもあったのではないか、という気がしないでもない。

・回天記念館で肉声を聞いた人たちの感想が物足りなかった。最後に、やはり番組の結論としてのメッセージを出すべきだったと思う。

・最近の若い人の戦争に対する認識の程度を見ていると、これから戦争を伝えるドキュメンタリーは、若い人の声を取り入れることも必要かもしれないが、それ以上に、戦争の事実関係をきちんと押さえて報道することが必要になってきているのではないかと思う。

という意見もあった。

 

次回開催日は、2019年7月30日です。