番組審議会とは
放送番組審議会は、放送のもつ公共的使命、放送番組の適正を審査し、番組向上を図ろうという機関です。
yabの放送番組審議会は、県内在住の9名の皆さんで構成され8月と12月をのぞき、毎月1回の定例会として行われています。
委員長
福田百合子 (中原中也記念館名誉館長、山口県立大学名誉教授)
副委員長
佐藤國憲 (防府商工会議所顧問)
委員
藤田敏彦(富士商株式会社 会長)
矢野道代(矢野健康体操研究会会長)
吉本秀子(山口県立大学国際文化学部 准教授)
樫村伸哉(朝日新聞山口総局長)
酒田義矢(ユーピーアール株式会社 社長)
黒神直大(遠石八幡宮宮司、周南市体育協会会長)
福田浩治(山口県総合企画部次長)
第238回 放送番組審議会
概要
開催年月日 | 2017年05月30日(火) |
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開催場所 | 山口朝日放送本社 役員会議室 |
出席委員名 | 福田百合子委員長 |
会社側出席者 | 代表取締役社長 渡辺興二郎 |
議事録
①課題番組の「回天 時を超える肉声」について審議が行われました。
・前半の家族を思いやる普通の若者の心と、後半の愛国的な思いについて、岩井さんが、前のほうが本当の自分なのだが、後半の言葉を続けることで自分自身を説得している、と言ったのはとてもよく納得できた。
・90歳代の特攻の生き残りの方々の証言、若い中学生のコメント、それに大学生のコメントがあって、いろんな世代の人で戦争に対する見方が違うということが、多角的に描かれていたところが良かったと思った。
・塚本太郎さんの肉声のレコードはもとより、生き残った3人の兵士たちが語る生々しい証言、戦時下の貴重な写真・遺品・書簡、生まれ育った家、ゆかりの人々など、よくぞここまで訪ね歩いて探し出したものだと、その情熱に感服した。
・広島・長崎、鹿児島県の知覧、沖縄などについては、たびたび報じられて全国的によく知られているが、人間魚雷回天の基地のあった山口県の報道は少なかった。これを取り上げて見事な作品に仕上げて世に送り出したことに対して、関係者・スタッフ一同に敬意と賛意を表したいと思う。
・番組を見終わったときに、久し振りに朝日系列らしい、完全に反戦をテーマにした番組を作ったなと思った。反戦という言葉は一つも使わなかったが、最初から最後まで見事に反戦を表現したという感じがした。
・戦争を知らない世代だが、これまで何度も原爆のフィルムを見たり、戦争を語り継ぐいろんな本を読んだりしたが、今回の番組がいちばん強く心に響いた。こういう番組を繰り返し放送して、戦争の悲惨さを次の世代に引き継いでいかなければならないと強く思った。
・戦後教育においては、戦争に関する情報発信というのがあまりなかったので、こうした番組を作って伝えていくというのは非常に意義があると思う。また回天の基地が山口県にあったということで、やはり地元の放送局が作るべき番組だったと思う。その意味で、今回の番組はたいへん良かったのではないかと思う。
・当時の世情を考えると、相反すると思われる二つの気持ちが、塚本さん本人の中に存在していた、ということがよく理解できたように思う。今回の番組は、そのどちらにも偏ることなく、中立的に報道されていたと思うので、そういった相反する二つの気持ちが、視聴者にも十分伝わってきたと思う。
・修学旅行の平和学習というと、広島の原爆ドームに行くことが多いが、県内の学校は、回天記念館を身近な学習機会として利用している、ということを多くの人に知ってもらうことができた、よい機会だったと思う。
といった意見が出された。その一方で、
・塚本太郎さんが出撃する前に、訓練中の死亡事故が起きたという話の中で、潜望鏡が船腹に当たった事故だったということだが、それで死亡事故が起きるというのが、なかなかイメージしにくかった。
・レコードの内容がとても雄弁なので、ひょっとしてお父さんが書き直したのかもしれないと思った。特攻で死んでいく人の手記を、何らかの形の宣伝活動として、次の特攻隊に志願させるためのプロパガンダとして録音した、という可能性も否定できないのではないかと思った。
・番組の中で、女子中学生の「彼が望んでいるのは、いじめのあるような社会ではなかったと思います云々」という発言を聞いて、この子はいじめを受けているのではないかと心配になった。
という意見もあった。
次回開催日は、2017年6月27日です。