番組審議会とは
放送番組審議会は、放送のもつ公共的使命、放送番組の適正を審査し、番組向上を図ろうという機関です。
yabの放送番組審議会は、県内在住の9名の皆さんで構成され8月と12月をのぞき、毎月1回の定例会として行われています。
委員長
福田百合子 (中原中也記念館名誉館長、山口県立大学名誉教授)
副委員長
佐藤國憲 (防府商工会議所顧問)
委員
藤田敏彦(富士商株式会社 会長)
矢野道代(矢野健康体操研究会会長)
吉本秀子(山口県立大学国際文化学部 准教授)
樫村伸哉(朝日新聞山口総局長)
酒田義矢(ユーピーアール株式会社 社長)
黒神直大(遠石八幡宮宮司、周南市体育協会会長)
福田浩治(山口県総合企画部次長)
第240回 放送番組審議会
概要
開催年月日 | 2017年07月25日(火) |
---|---|
開催場所 | 山口朝日放送本社 役員会議室 |
出席委員名 | 福田百合子委員長 |
会社側出席者 | 代表取締役社長 天野尚彦 |
議事録
課題審議として「テレビは何故つまらなくなったのか ~メディアとしての存在価値を問い直す~」について審議を行いました。
・新聞やネットと違って、テレビでは、対談とか今の話題について、いろんな考え方の人に集まって話をしてもらうとか、深く掘り下げた話題をやってもらえば、「これを見逃すともったいないな」と感じてもらえるのではないかと思う。
・視聴率のことがよく話題になるが、いま実際は録画して見る人が非常に多い時代なので、テレビ番組の評価を単に視聴率だけでしてよいものかどうか、改めて考えてみる必要があるのではないかと思う。
・ローカル局としては、山口県の話題だけでなく、もっと広く中四国などとの連携があってもよいのではないか。たとえば、日帰り旅行に出かける人にとって有益な話題など、ローカル局同士のネットワーク番組が増えてもいいのではないかと思う。
・新聞はテレビに抜かれて第二のメディアになって久しいが、やはり新聞のほうが信頼できるという新聞の役割がある。そのように今まで新聞が担ってきた信頼という部分を、今度はテレビが第二のメディアとして、担っていくべきではないかと思う。
・ローカル局の基本的なこととして、県政と市政についてきちんと報道してほしい。県議会議員選や県知事選の投票率が非常に悪いのも、そもそも県政というのがあまり報じられない、面白く報じられない、というのが理由の一つにあると思う。
・「インターローカル」という言葉があるが、ローカルとローカルを結んで何かできないか。岩国基地の問題で、厚木にも取材に行って、厚木と比べるというyabのニュースを見たことがあるが、そのようなインターローカルな地域間の取材の支えがないと、まったく見えてこない問題もある。そのあたりを地道に、面白くやっていくのは、地域に根差した放送局しかないと思う。
・いまスマホを片手にテレビを見るような人もいる時代で、テレビとインターネットは競合するのか、融合するのか分からないが、今後いろんな使い方が展開されていくのではないかと思う。
・「県の情報を何で知るか」という世論調査によると、第1位はテレビ報道で約70%、第2位が県の広報誌で約50%であった。この結果を見ても、ローカル局の報道番組の優位性というのは、引き続き残っているのではないかと思う。
・趣味や娯楽の分野では、インターネットからの情報収集が伸びているのは事実だが、報道の分野に関しては、テレビ放送は、インターネットに比べて、いろんなフィルターが掛かっていて信頼性がある、という点で優位性があると思う。
・新聞社もデジタル媒体の記事のページヴュー獲得に努力しているが、テレビ局も、YouTubeなどを利用して、県内の視聴者だけではなく、県外にも情報を発信する努力を、より一層すべきではないかと思う。
・この春、東京、大阪、名古屋の民放15社が、ニュースの動画配信会社を共同出資して設立したが、これから民放もどんどん動画を配信していくことになると、地方局も影響を受ける可能性は十分ある。それを乗り越えるには、やはり良質の番組を作っていくことしかないと思う。
・KRYが「ふたりの桃源郷」という、25年間にわたって取材したドキュメンタリー番組を再編集し、すばらしい映画にしてヒットさせた。地方局はこれからそういう挑戦も必要ではないか。そして広く世界に伝えるためには、ネットをうまく使った番組作りが必要ではないかと思う。
・日常の中にテレビがあることで、安心と安らぎを感じるような人も大勢いると思う。たとえば、病院に入院している人たちにとって、日頃見慣れたテレビの映像や音には、つらい気持ちを慰めてくれるものがあると思う。
・番組の制作者が、どれだけ面白がって番組を作っているか、それがいちばん重要だと思う。作らなくてはいけないから作るのではなく、作りたいから作る。その基本がブレなければ、あとは自由に番組を作っていいと思う。
・人、物、すべてのことについて、地域の中の本物を探す努力をしてほしい。それが本物であれば、どの切口から番組を作っても、伝えるべきものは、きちんと伝わると思う。それがまたキー局との絆にもなると思う。
・キー局に言いたいこと、望むこととしては、主要株主の新聞社からのコメンテーターは起用しないでほしい。テレビのニュースの解説で新聞社の視点からのコメントは辟易する。第三者的なコメンテーターを起用すべき。
・地域のメディアとしてのテレビは、地域の情報発信基地となるべき。よって地域のニュースや情報、地域密着のドキュメンタリーなど、キー局にはできない番組を制作するべきだと思う。
・ローカル局のコンテンツ力・情報発信力を強化するには、やはり自主制作の番組を数多く作るしかないと思う。そのためには制作費がかかるが、番組ごとの特定のスポンサーを募るのではなく、yab自主制作番組の制作に賛同するスポンサー会員を幅広く募集し、会員制(例:法人1口10万円、個人1口1万円)で資金を集めることで、自由な番組作りができると思う。
・どのようなコンテンツが必要とされるのか、ということについては、ローカルニュース、ローカル番組ということが言えるのではないか。
・地域メディアとしてのテレビのあり方については、地域密着、原点復帰ということが必要だと思う。
・地方公共団体や民間組織、団体、企業、個人が任意に参加する、「県内ニュース報道制作強化支援団体」みたいなものを作れないか。そしてボランティアの地方特派員制度というのを作って、ローカルニュースの発掘から取材、提供まで、局の担当の人ではなく、県民挙げて、そういうことをしていったら面白いのではないかと思う。
という意見もあった。
次回開催日は、2017年9月26日です。