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#303「佐藤健寿展 奇界/世界」

山口市の県立美術館では、
写真家・佐藤健寿さんが過去20年にわたって120カ国以上を巡り、
そこでさまざまな文化や歴史、自然が作り出す不思議な景色を
「奇界」として写真に収めた、約220点の写真作品が展示されています。

佐藤さんの写真の魅力は、世界中の見たこともない景色や
これまで知らなかった文化にたくさん出会えるところです。
「マトリョーシカ・ホテル」という作品では
ロシアの伝統工芸品「マトリョーシカ」の形をした高さ72メートルもあるホテルが写っています。
このホテルがあるのは、中国北部のロシアとの国境の町ですが、
日本でも「志摩スペイン村」とか「ハウステンボス」があるように、
中国のこの街は「ロシア推し」というわけです。

一方でロシア北部の遊牧民族の写真では、
この民族が週に一度、飼っているトナカイを解体してそのまま食べるようすが写っています。
この民族はネネツ族といって2000年前からトナカイと共に生きてきた人々です。
日本人にはちょっと奇妙に映る食事風景ですが、
彼らにとっては普通のことということなんです。

日本人だって戦後間もない頃は普通に家畜をしめて晩ご飯に食べていましたので、
そう考えるとネネツ族と私たちも、実はそれほどかけ離れた存在ではないのかもしれません。

今回の展覧会ではこういった写真作品のほか、
国立民族学博物館所蔵の民俗資料など、およそ232点の作品が展示されています。
驚きと発見に満ちた佐藤さんの写真の世界を旅してみませんか。


◆山口県立美術館
TEL:083-925-7788 
FAX:083-925-7790
https://www.yma-web.jp/