のイキイキ!山口
#348「超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA」
これまで山口県立美術館では、2015年と2018年の2度にわたって、
明治工芸を再評価するとともに、その超絶技巧のDNAを受け継いだ現代の作家も紹介する
「超絶技巧」シリーズの展覧会を開催してきました。
今回はその第3弾となり、17人の現代作家たちの作品を、新作を中心に紹介しています。
こちらは青木美歌さんの作品です。
青木さんは粘菌やウイルス、細胞といったミクロな世界に存在する原始的な生命体を、
ガラスという素材を使って神秘的でダイナミックに表現する作家で、
目に見えない「生命の在りよう」をテーマとしてきました。
この作品は、卓上のバーナーでガラスを溶かしながら制作するバーナーワークの技法で作られていて、
生命の循環や命の繋がりが繊細な透明ガラスのインスタレーションで表現されています。
こちらは『月光』という作品です。
「月下美人」という花を表しており、実は47枚の白い花弁は鹿の角から作られています。
さらに驚くことに花器に水を注ぐと花がゆっくり開く仕掛けとなっています。
生き物の存在意味に寄り添い、独自のメカニズムで本物の生き物のように「動く彫刻」を表すのが、
大竹亮峯さんの作品の大きな特徴となっています。
こちらの作品は、今回の出品作家のうち最年少である福田亨さんの木彫作品です。
板の上の水滴に集まるアゲハチョウを表しています。
蝶の羽はもちろん、使われている全ての色は着色ではなく、
木材の自然な色を組み合わせた彼独自の立体木象嵌(りったいもくぞうがん)という技法でできています。
さらに、水滴は板全体を彫り下げて浮き彫りにし、表面を研磨することで、つやを表現しています。
「超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA」は11月10日 日曜日まで。
現代作家の作品のほか、超絶技巧を駆使した七宝や金工など明治工芸の逸品も、
数多く展示されています。
皆さんも、作品を通して、匠の技の素晴らしさを体感してみませんか。