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2017年11月13日 #135 雪舟発見!展を開催
2017年11月13日 #135 雪舟発見!展を開催
#135 雪舟発見!展を開催
現在、山口市の県立美術館では、雪舟の作品が84年ぶりに見つかったことを記念した特別展『雪舟発見!展』が開催されています。
“世紀の大発見”ともいえるこの作品は、どういったものなのでしょうか?
新たに見つかったのは「倣夏珪山水図(ほう かけい さんすいず)」です。
雪舟は、国内最多の6作品が国宝に指定されている、日本の美術史上一番のビッグネームです。
この作品は、昭和8年に売りに出されて以来、行方が分からなくなっていたもので、それが今になって見つかるというのは驚くべきことです。
この作品が雪舟の真筆、本物だと判断された決め手は、狩野常信(かのう つねのぶ)という江戸時代の画家が描いた「流書手鑑(りゅうがきてかがみ)」という作品です。
狩野常信は「流書手鑑」で雪舟の作品を、落款(らっかん)の書体に至るまで、忠実に模写しているのですが、今回見つかった作品は、その模写と非常によく似ています。
また、雪舟を研究している方はたくさんいらっしゃいますが、その方たちが口をそろえて「この作品は本物に間違いない」とおっしゃいました。
雪舟の作品と思われるものが新たに出てきた時に、「本物だ」と研究者の皆さんの見解が一致するのは、今回が初めてだと思います。
この作品の「雪舟らしさ」は、まず絵の右側にある山道を歩く男性です。
この装束といい姿勢といい、防府市の毛利博物館に所蔵されている、国宝の「山水長巻」をはじめとする雪舟の作品と、描き方が共通しています。
また、非常に速い筆遣いで力強く描かれた岩のゴツゴツした感じや、絵の手前に黒い墨を置く特徴的な画風も、雪舟の個性といえます。
この作品は、これまでほとんど公開されたことがなかったため、状態が非常によく、修復も少なくてオリジナルに近い状態です。
紙の風合いや筆運びなど、雪舟が描いた作品本来の肌合いが感じられるのも、魅力の一つです。
現在、県立美術館で開催中の、この「雪舟発見!展」と「奈良・西大寺展」、さらに雪舟が描いた、国宝の「四季山水図」が特別公開されている、防府市の毛利博物館の「特別展 国宝」をセットにした入場券を2,000円で販売中です。
芸術の秋に、貴重な文化財をお楽しみください。