のイキイキ!山口
#223 『モ~っとお役に立ちます。山口型放牧』
県内では、農業従事者の高齢化や後継者不足、
また農産物の価格の低迷などにより、耕作放棄地が年々増加しています。
その課題を解消するのに一役買っているのが、
山口型放牧と呼ばれる家畜の管理方法です。
今回のイキイキ!山口では、その山口型放牧についてご紹介します。
県が1989年から推奨している山口型放牧。
耕作放棄地に妊娠している肉用牛を放牧することで、
畜産農家は餌代の節約や世話などの労働の省力化はもちろん、
放牧した土地は荒れた農地がきれいになることで
イノシシなどの獣害を防ぐといった
多くのメリットがある取り組みとして注目されています。
県内では、耕作放棄地が年々増加していて、
その規模は国の統計で3620ヘクタールに上っています。
この面積は、山口宇部空港のおよそ23倍の広さに相当します。
このうち、山口型放牧は県内で200カ所以上、
314ヘクタールで実施されています。
秋穂放牧利用組合の宗綱良治さんに話を聞きました。
この辺りは、昨年まで耕作放棄地となっていましたが、
放牧を利用して新たな農地管理を行うために、
平成22年に立ち上げた組合で、山口型放牧に取り組んでいます。
牛は草を自分で歩いて行って食べ、体の栄養にし、ふんや尿を畑に残すので、
「四輪駆動の草処理機(1牛3役)」と呼んでいます。
また、放牧することで、牛農家は手間や餌代が節約できますし、
景観の保全や獣害の拡大防止、雇用の創出など、
まさに放牧は「一石七鳥+α」だと感じています。
このような風景は地元の方からも喜ばれます。
放牧しているのは妊娠している牛ですが、よく運動することで足腰が丈夫になり、
安産につながっていると感じます。
また、山口型放牧には今年度からICT・情報通信技術を活用した研究が開始されています。
牛に小型センサーを付け、放牧地のエリアをGPSで設定することで、
万が一、牛が敷地の外に出ようとした場合、
手元の携帯端末に通知が届き、すぐに対応することができます。
こういった技術の導入を支援することで、より山口型放牧に取り組みやすくし
畜産経営の体質強化につながることが期待されています。
山口型放牧は、県内の畜産業や農地の保全などに一役買っています。
牛を飼っていない人は「レンタカウ制度」で牛を借りることができます。
関心がある方は、県畜産振興課かお近くの農林水産事務所までお問い合わせください。
お問い合わせ先:県畜産振興課 083-933-3430