【県民サーチ】物価高で生活の一部に“ポイ活”使い道は 「年金生活者はこれで楽しむしかない」――物価高の山口で広がる”ポイ活”の今
物価高が続く中、ある調査では日本人のおよそ80%がポイントを積極的に、
あるいはどちらかというと貯めていると答えています。
その目的は、多くの場合「節約」。
でも、街の人々に話を聞いてみると、ポイ活はもはや節約の手段を超えて、
日々の暮らしに彩りをもたらす”楽しみ”にもなっていました。
「来店するだけでポイントが貯まる」――下松市のJA直売所で体験
山口県下松市のJA直売所。
地元産の野菜や果物が並ぶ店内に、津山奈穂子リポーターがやってきました。
ここで使えるのが「ぶちうま!アプリ」です。
やまぐちの農林水産物需要拡大協議会が運営するLINEミニアプリで、
地産地消を後押しする仕組み。
JA直売所やスーパー、飲食店など
447か所の参加店舗に設置されている二次元コードを読み込むだけで、
ポイントが加算されます。
「ではちょっとやってみましょう。はい、ポイント貯まりました」
スマホをかざしてあっという間。
500ポイント貯まれば、500円分の値引き券や電子クーポンと交換できます。

ぶちうま!アプリの画面。来店や購入でポイントが積み上がっていく
「500円貯まったら、ここで野菜を買って帰る」
直売所で話しかけると、すでに178ポイントを貯めているという女性がいました。
「500円貯まったら、ここで野菜を買って帰る。年金生活者はこれで楽しむしかないと」
その言葉には、笑いの中に切実さがにじんでいました。
ポイントを貯める方法は、買い物だけではありません。
アプリ内の「マイ農園」では、野菜や車エビなどを育てることができ、
栽培中にクイズが出題されます。
正解するとポイントがもらえる仕組みです。
「農園でエビとかキャベツとか育てられて。正解です!ポイントがもらえます」
彼女はポイ活をこう表現しました。
「毎日の生活の楽しみと、お買い物の楽しみと、自分の中のワクワクするイベントです」

アプリ内の「マイ農園」機能。
野菜や車エビを育てながらポイントを貯められる
自治体も動き出した――「しもまちポイント」と「やまぐちバイタリティーウォーク」
ポイ活は、民間だけの話ではありません。
下関市では今年3月から「しもまちポイント」がスタートしました。
市が指定するイベントへの参加や、
市の施設にある二次元コードを読み取ることでポイントが貯まり、
地元ならではのグルメなどと交換できます。
クルーズ船の見送りイベントなど、
街の魅力を体験しながらポイントも得られる、地域活性化との一石二鳥の取り組みです。

夜の港でのクルーズ見送りイベント。参加するだけでポイントが貯まる
さらに先月、山口県と住友生命保険が提携して新たなポイ活を発表しました。
住友生命の健康アプリを使った「やまぐちバイタリティーウォーク」です。
目標の歩数などを達成するとポイントが貯まり、
設定されたポイントが貯まるとドリンクのチケットなどがもらえます。
申し込みは9月28日から始まり、
対象は県内在住または勤務する18歳以上の方、先着1,000人です。
「健康づくりに楽しみながら取り組めることが特徴で、
県民の皆さんの健康意識の向上や、運動習慣の定着につなげていきます」(山口県職員)
歩くだけでお得になる――これならポイ活初心者でも始めやすいでしょう。

やまぐちバイタリティーウォークの申し込み情報。先着1,000人
「まさかポイントで買ったとは」――家族の笑顔を生んだポイ活
街の人々のポイ活事情を聞いてみると、それぞれのドラマがありました。
ある父親は、スーパーやドラッグストアのカードやアプリでポイントを地道に貯め、
最近、家電量販店やショッピングセンターのポイントを使って、
子どもに電車や車のおもちゃを買ってあげたといいます。
「ポイ活はどうですか?」と聞くと、父親はこう答えました。
「楽しいですね。500円券が出てきましたよ、ってことになると、
一緒に買い物に行ったりすることが多いんですけど、お菓子買ってあげるとか」

父親、子ども、母親の3人がインタビューに応じた
「パパから買ってもらったとき、どうでしたか?」
「すごくうれしかった」
「まさかポイントで買ったとは?」
「思わなかった」
子どもの笑顔の裏に、親の地道なポイント活動がありました。
「58万ポイント」――アメリカ出身男性の驚きの蓄積
さらに驚きのエピソードも。
2年前にアメリカから日本へやってきた20代の男性が見せてくれたスマホ画面には、
58万ポイントが表示されていました。
「PayPayポイントです」
アメリカから日本への航空券をはじめ、支払いのほとんどをPayPayカードで行ったため、
あっという間にポイントが積み上がったといいます。
現在はUberEatsなど食費への活用が中心だそうです。

アメリカ出身20代の男性。58万ポイントという驚異の蓄積を披露してくれた
「アメリカでは、ポイントを使うのは常識ですか?」
「あまりない。アメリカのポイントにあたるのは、キャッシュバックです」
日本のポイント文化の独自性が、外からの視点ではっきりと見えてきました。
また別の男性は、バーコード決済やクレジットカードで貯めたポイントをゴルフに活用。
通常6,000円のところを5,000円で利用できたといいます。
「節約にもなるし経済的にもいい方になるので、
積極的に使っていきたいと思ってます」
20代の女性はハンバーガーチェーンのアプリを見せてくれました。
気づいたら1,000ポイント以上が貯まっていたといい、こう話しました。
「いろいろ物は高いので、ポイントとか使えるものは使っていかないとな、と思います」

「ポイントが5倍につられて買ってしまう」――やってはいけないNG行動とは
一方で、注意も必要です。
ある調査(クロス・マーケティング、2025年)によると、
積極的にポイントを貯めていると答えた人は42.8%、
どちらかというと貯めるという人は38.5%。
合わせておよそ80%の人がポイントを貯めています。
その主な目的は、生活費の節約です。

調査データ。積極的に貯める人と合わせて約80%がポイントを貯めている
しかし、県消費生活センターには
昨年度だけでポイ活に関わる相談が20件寄せられました。
代表的なトラブルとして、
「ポイントがもらえると思っていたが、付与されなかった」
「サイトに登録して貯まったポイントを現金化しようとしたら、
高額な手数料を要求された」といった事例が挙げられています。
不審に思った場合は、
最寄りの消費生活センターか消費者ホットライン「188」へ相談することが勧められています。
ファイナンシャルプランナーの中村さんは
ポイ活のNG行動として、次の3点を挙げました。
● ポイントをもらうために、不要な一品を買い足してしまう
● 「ポイント5倍」などにつられて、必要のないものを買ってしまう
● 年会費が必要な高還元率カードで、年会費とのバランスを確認していない
さらに、人の紹介でポイントを獲得する際、
「友人がやっているから大丈夫」と安易に考えてしまうことも危険です。
アプリへの登録時に個人情報がどう使われるか、
規約をしっかり確認することが大切だといいます。

ポイ活のNG行動を解説するボード。FPオフィス緑・中村さん監修
ポイ活の本質は「何に使うか」を決めること
節約のためのポイ活が、いつの間にか余計な出費を増やしてしまう――
そんな皮肉な落とし穴に、心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
中村さんはこう締めくくっています。
「ポイントを貯めることが目的ではなく、何に使うのかを目的にしましょう」
物価高の中で生まれた知恵であり、日常の楽しみでもあるポイ活。
年金生活者が野菜を買うための500円に変え、
父親が子どもに思いがけないプレゼントをし、
アメリカ出身の若者が58万ポイントという記録を作る――。
使い方しだいで、暮らしを少し豊かにしてくれる、
それがポイ活の真価といえるかもしれません。


