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【県民サーチ】「夏は我慢できない。冬に我慢します」――酷暑日元年、山口の人々が変えた暮らし

40℃。
お昼を少し回った山口市の維新公園で、
レポーターが手元の温度計を読み上げたとき、その声には驚きと苦笑いが混じっていました。
「日差しが痛い」――そのひと言が、今年の夏のすべてを物語っています。

手元の温度計が示した40℃超え。地面の照り返しが体感温度をさらに押し上げる
「去年まではかけてなかったんですけど」――サングラスデビューした70代男性

今年の夏は、ただの「猛暑」ではありません。
気象庁が40℃以上の日を「酷暑日」と新たに定義した、まさに「酷暑日元年」。
山口市では8月3日に歴代最高気温となる39.4℃を記録しました。
この日の市内の公式気温は37.3℃でしたが、地面の照り返しを加えた手元の温度計は40℃を指していました。
街の人々は、この異常な暑さにどう向き合っているのでしょうか。
取材班が維新公園周辺で声をかけると、さまざまな「新しい習慣」が浮かび上がってきました。
70代の男性が今年から始めたのは、サングラスをかけることです。
「去年まではかけてなかったんですけど、
目がしょぼしょぼしたり、目やにが出たり、痛くなったりするから」と話してくれました。
紫外線の強さが、もはや目に見えて体に影響を与えるようになっているのです。

今年から新たに暑さ対策グッズを取り入れた市民も多い
「全員分、買い足して」――家族を守る母親たちの奮闘
2人の子どもを持つ母親は、抱っこひもの中に赤ちゃんを入れながら、
保冷剤を隙間に差し込んで歩いていました。
「一番心配」という言葉に、親としての切実さがにじみます。
家族全員分のハンディファンも、つい最近まとめて買い足したといいます。
小学生の子どもに折りたたみ日傘を持たせ始めた母親もいました。
しかし現実はなかなか難しい。
「今年はあんまりささずに帰ってきて、顔が真っ赤になってたりとか」と苦笑い。
当の小学生に「ささなくなったのはなんで?」と聞くと、
「出すのがちょっと面倒くさい」とのことでした。

日傘を持たせても、子どもは「面倒くさい」とさしてくれないのが親の悩み
炎天下の建築現場で働く男性は、ファン付きの作業着が手放せないといいます。
レポーターが「着てみる?」と試したところ、
「全体的に扇風機の中に入ったみたいで涼しい」と驚いていました。
男性はきっぱりと言いました。「今年は暑くて、これなしではやれんから」と。

「冷たいタオル、ゼリー、冷却ポンチョ」――川遊びでも抜かりなし
子どもたちを川で遊ばせるお母さんたちも、準備は万全です。
クーラーボックスに飲み物と冷たいタオルを詰め込み、暑い日用のゼリーも持参。
さらに、水に濡らして振るだけでひんやりとする冷却ポンチョまで用意していました。
川から上がった後の強い日差し対策にも、余念がありません。

川遊びの後も、冷却グッズで子どもの体を守る
子どもが「うん」とうなずく短い一言に、夏の情景が凝縮されていました。
「我慢できないです、夏は。冬に我慢します」

ある保険会社の調査によると、
猛暑に対して何らかの不安を感じていると答えた人は、実に80%以上に上っています。
山口の人々も、例外ではありませんでした。
エアコンをつけっぱなしにせざるを得ないことで、電気代がいくらになるのか不安だという女性。
熱中症対策のドリンク代がかさんでいるというお母さんは、
「体感で月に1万円くらいプラスになっている」と明かしました。
「その分、どこで我慢してやりくりしているんですか」と聞くと、返ってきた答えは明快でした。
「我慢できないです、夏は。冬に我慢します」
笑いながらも、その言葉には切実な本音が宿っていました。

子どものためなら、出費は惜しまない。でも、どこかで帳尻を合わせなければならない。
「酷暑日元年」の夏が、家庭の家計にも静かに打撃を与えています。
生活のリズム自体を変えた人もいます。
「買い物に行く時間を昼間はやめて、夕方の日が陰った時間帯にするようにした」という女性。
農業を営む男性の言葉は、さらに印象的でした。
「3〜4年前まではお昼にご飯を食べて軽く休憩して、というイメージだったんですけど、
今は頑張って頑張って午前中に作業できるだけやって、
1時とかに家に帰ってご飯食べて、もう4時ぐらいまで寝ています」

農家の男性は「日中に外に出ることがあまりにも非効率」と話す
「日中に外に出ることがあまりにも非効率」という言葉が、今年の夏の本質を突いています。

「55℃の車内が、5分で28℃に」――JAFが実証した冷却術
この暑さで特に注意が必要なのが、車の中の温度です。
炎天下で1時間半ほど駐車場に停めていたという女性は、
「先にエンジンをかけてガンガンにエアコンを効かせてから乗せるんですけど、
後ろはやっぱり暑いよね」と話していました。
JAFが最高気温34℃の日に行った実験では、計測開始からたった5分で車内温度は38℃に。
1時間後にはなんと50℃近くにまで上昇し、ダッシュボードに至っては65℃を超えました。

JAFの実験映像。たった5分でダッシュボードが46℃超えに
気温35℃の中、正午から4時間駐車した場合の別の実験では、
サンシェードなしの黒い車で車内最高温度57℃・ダッシュボード79℃、白い車でも52℃・74℃を記録。
サンシェードを使った白い車でも、車内50℃・ダッシュボード52℃という結果でした。
対策をしても、これほど高温になるのです。

サンシェードの有無と車の色による車内温度の違い
では、上がってしまった車内温度を素早く下げるにはどうすればいいのでしょうか。
JAFの実験が明かした方法はこうです。まず、すべての窓を全開にします。
次に、外気導入モードを選択し、エアコンはローに設定。
この状態で2分ほど走行し、車内の熱気を外に逃がします。
熱気が抜けたら窓を閉め、最後に内気循環モードへ切り替える。
この手順を踏むことで、55℃あった車内温度が5分で28℃にまで下がったといいます。

車内を素早く冷やす3ステップ。「順番が大事」とアナウンサーが強調
「今まで窓を閉め切って、エアコンをガンガンにつければいいと思ってたんですけど、
まず窓を開けて熱気を外に逃がすことが第一段階なんですね」

帰省シーズンの今、備えを忘れずに
酷暑日元年の夏は、まだ続きます。
保冷剤、ハンディファン、冷却ポンチョ、ファン付き作業着、サングラス――
街の人々は、それぞれの知恵と工夫で、この異常な暑さと向き合っていました。
生活のスケジュールを組み替え、家計のやりくりを余儀なくされながらも、
「子どものためには買うしかない」という言葉に、この夏を生き抜く覚悟がにじんでいます。
帰省シーズンを迎え、車を使う機会も増えるこれからの時期。
車内の温度管理も、暑さ対策のひとつとして意識しておきたいものです。