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やまぐちの底力 国内トップクラスの研磨技術 太華工業

まるで鏡のようにモノを反射させる金属。
これは、磨き上げられたステンレスです。
自動ドアの外枠やエレベーターのドアなど建物のさまざまな設備に使われています。

 

磨く前、表面はくすんでいますが、何度も何度も磨くことによって
鏡のような美しい光沢が生まれます。
手掛けるのは、周南市の「太華工業」です。
県内で唯一、建築用のステンレス研磨を行っています。
建物の一素材として業者に販売しているため、知名度が高いわけではありません。
ただ、ステンレスを磨いて鏡のように仕上げたり模様をつけたりする
「意匠」という分野で国内トップシェアを誇るといいます。

トップシェアになりえた理由を中川智加良社長は次のように話す。
「長年のデータと現場の対応力。
この2つで色々なお客さんの要望に応えられているのではないかなと思う。」

太華工業は1957年創業。
去年、60周年を迎えました。
ステンレスの表面にある傷を取る「研磨」に長年、携わってきました。
「元々研磨の分野で、色々な仕上げがあるが、建材の意匠分野に、
大きなマーケットがあると感じて、そこからそういった分野に進出するようになりました。」
と中川社長は会社の転機を振り返ります。

美しく仕上がったスタイリッシュなデザインを求める声が多く寄せられたことを受け、
1984年、新たな事業が本格化します。
磨く技術を高め、ステンレスの美しさを追及しました。
時代は安定成長期からバブル経済へ―。
より高級感があるものが好まれて、需要は増加。
業界トップクラスの企業に成長しました。
成功の鍵は、業界の常識に囚われない“攻め”の姿勢でした。

この分野では当時、注文を受けて生産するスタイルが主流で、ほとんどが手作業でした。
当然、在庫という概念もなく、受注から納品まで3、4ヵ月かかるのが常識でした。

こうした状況の中、太華工業はライバル会社に先駆けて
専用の機械を開発し、量産体制を整えます。
製品をつくり置きして在庫管理するスタイルで、納期をわずか1週間に短縮したのです。
設備投資を行ったことで、オリジナルの模様も可能になりました。

「バイブレーション仕上げ」という仕上げです。
同心円状に模様を仕上げてきます。
建築物件で繋ぎ合わせた時、境い目が見えにくいと人気です。
模様の付け方が気になりますがそれは企業秘密だと言います。

独自の技術を開発し、シェアを拡大してきた太華工業。
さまざまな要望に対応できる柔軟性も、持ち味のひとつです。
今年、てあぶらプルーフという新しい加工を開発しました。

右側がてあぶらプルーフを施したステンレス。
左が加工なしです。
見た目は同じですが、油性ペンを使ってみると、跡の付き方は一目瞭然。
記者が体験しましたが、加工がある方はそもそも書けず、拭くだけで油性ペンの跡が消えました。

ステンレスは、たくさんの人が触るものに使われます。
長年使用するとどうしても汚れてしまいますが、
撥水性の高い被膜を施すことで、この問題を解消しました。

先進的な技術と生産体制で業界をリードしてきた太華工業。
中川社長にモットーをうかがいました。

信頼という言葉です。
お客さんのですね色々な問題解決をしていくことによって
結果として我々の成長があると思っています。
信頼というのはですね約束を守ることから生まれる。
品質の信頼性、納期の信頼性、我々自身がきちっと安全に操業していく安全の信頼性
この3つをきちっと確立できるように会社を運営していきたいと思う。