のJチャンやまぐち
やまぐちの底力 兼子産業 工業用品の梱包材製造から物流業界の困りごとを解決する会社へ
光市室積、目の前に瀬戸内海が広がる風光明媚な土地に本社を構える兼子産業。
従業員わずか35人の小さな会社です。
田布施町にある工場では、荷物を運ぶための台、通称パレットが作られていました。
工場の中には木の香りが広がります。
3代目社長の兼子 雄輝(かねこ ゆうき)さん(35)は、県外の制御機器メーカーで3年間務めたあと、
2008年に山口に戻り、父・義行(よしゆき)が社長を務めていたこの会社に就職。
去年、社長に就任したばかりです。
兼子産業のスタートは1951年。
現社長の祖父・行正(ゆきまさ)さんが、炭鉱などで坑道を掘る際に使う坑木を販売する
「兼子坑木店」を立ち上げたのが始まりでした。
しかし、時代の流れの中で炭鉱は次々と閉鎖され、
行正さんが坑木に使われなくなった木材を使用して「スダレパック」という商品でした。
この商品のヒットをきっかけに、工業用品の梱包材を作る会社へとシフトした兼子産業。
しかし、山口に戻り、会社を引き継ぐことが決まっていた兼子社長にはひとつの不安がありました。
それは「エリアの遠い遠方のお客さんを開拓したり、成長性というところで難しい」ということ。
そこで兼子社長が始めたのが「自社ブランド商品の開発」。
まず目を付けたのが、取引先である物流業界の「困りごと」でした。
たとえばフォークリフトのフォーク部分は表面がツルツルの金属製です。
雨に濡れると滑りやすくなり、急ブレーキをかけたり旋回したりした時にパレットが滑り落ち、商品が破損してしまいます。
これが全国の物流業界で共通の悩みであることを知った兼子社長が
1年半かけて開発したのがフォーク部分にマグネットで貼りつける「すべらんマット」。
表面は摩擦力の強いウレタンゴムでできていて、もし雨に濡れてもパレットが滑り落ちることはありません。
この商品が物流業界で大ヒットし、今でも年間3000セットが売れる人気商品となりました。
その後も、次々とアイデア商品を開発し、梱包材の製造会社から、物流業界の“お助けマン”となった兼子産業。
色紙に「変化」と書いた兼子社長は
「お客さまの現場の変化、体制の変化にいかに柔軟に対応していくか?
これが弊社の使命でありモットーとしているところ。
機動力を持った柔軟性のある会社にしていきたい」と語りました。
★兼子産業株式会社
■住所:光市室積東ノ庄10-1
■TEL:0833-79-2000