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【知っちょこ】火も油も使わない—「手間抜き」こそ、夏の台所の正解だった

梅雨が明け、本格的な夏が始まった。
「暑い中で料理を作るのは、嫌ですね」——街の人の声は、正直だった。

「ゆっくり料理もできない」——夏の台所は戦場だ
うだるような暑さの中、キッチンに立つ。
ガスコンロに火をつければ、熱気がさらに積み重なる。
子どもがそばに来る。汗が額を伝う。
あるお母さんはこう話していました。
「この子もキッチンに来ちゃうので、ゆっくり料理もできないので、夏はちょっと大変ですね」
その感覚を、データが裏づけます。
サーモグラフィーカメラで夏の台所を撮影した映像では、
一品目を作り始めた時点で部屋の温度は26度、人の体温は36度。
ところが三品目を作る頃には、部屋は30度、体温は38度にまで上昇していたのです。
「品数が増えれば増えるほど、危険な状態になりますね」——その言葉は、重く響きます。

「手間抜きしたっていいんです」——管理栄養士が太鼓判

火を使わない「手間抜きスタミナ料理」が完成
この夏の悩みに、ひとりの管理栄養士が答えを持っていました。
福岡市と山口市で初心者向けの料理教室を主催する「けんちゃん先生」。
「料理で色褪せない思い出を」をテーマに活動しています。
そして今回、Jチャンやまぐちの津山奈穂子リポーターとともに、
火を一切使わない夏のスタミナ料理を披露してくれました。
テーマは、夏バテ予防にもつながる「たんぱく質」の摂取です。
「夏バテの原因って、たんぱく質不足も一つ原因にあるので。
食べやすいサバ缶だったり、お豆腐を食べると、手軽にたんぱく質が取れると思います」。
選ばれた食材は、鶏もも肉・木綿豆腐・サバの水煮缶の3つ。
シンプルだけれど、頼もしいラインナップです。

「絶対に水分を捨てちゃダメ」——ゼロ油で塩唐揚げ

250度のオーブンにセット。「火なしザクザクから揚げ」の文字が躍る
最初に作るのは、「ゼロ油で塩唐揚げ」。
揚げ物なのに、油を使いません。鍋に火を入れる代わりに使うのは、オーブンです。

【レシピ】(2人分の目安)
鶏もも肉     300g程度 
塩        小さじ1/2 
料理酒      大さじ1 
小麦粉または米粉 大さじ2〜3 

【作り方】
①鶏肉を切る
鶏もも肉は一口大より大きめに切ります。
焼いたときに縮みすぎないようにするのがポイントです。
市販のカット済み鶏肉を使えば、まな板すら不要です。
②密封袋に入れて漬け込む
鶏肉を密封袋に入れ、塩・料理酒を加えます。
袋の口を閉める際は、空気をしっかり抜くこと。
「調味料がお肉に行き渡りやすくなるのと、
表面張力で上まで調味料が上がるので」とけんちゃん先生。
その後、袋の上からよくもみます。
このもみもみが、お肉の繊維に味を染み込ませる大切な工程です。
20分漬け込むと、ジューシーな仕上がりになります。
余裕があれば、この状態で冷凍保存しておくと、次回の唐揚げ作りの時短にもなりますよ。
③粉を袋の中に直接入れる

密封袋の中で肉と調味料を合わせていく
ここが最大のポイントです。
漬け汁を捨てずに、その袋の中に直接、小麦粉または米粉を投入します。
「絶対に捨てちゃダメ」とけんちゃん先生は念を押します。
水分と粉が合わさることで、衣が焼いたときにザクザクの食感に変わるのです。
普通の唐揚げ作りでは余分な水分を拭き取ってから粉をまぶしますが、
このレシピはまったくの逆発想。袋の中でドロドロの状態になれば、準備完了です。
④天板に並べてオーブンへ

衣をまとった鶏肉。これをそのままオーブンへ
クッキングシートを敷いた天板に、鶏肉を並べていきます。
このとき、必ず皮を上向きにすること。
皮がパリッと仕上がり、唐揚げらしいおいしさが出てきます。
そして形も丸くまとめておくと、唐揚げらしい見た目に。
袋に余ったドロドロの衣を肉に追いづけすると、さらにザクザク感が増します。
250度に予熱したオーブンで約25分焼きます。
途中12分ほどで天板の前後を入れ替えると、均一に仕上がります。

「切って混ぜるだけ」——夏の時短料理の最強クラス、冷や汁

サバ水煮缶の身と缶汁、どちらも余すことなく使う
唐揚げがオーブンで焼けている20分間に、もう一品を仕上げます。
火も熱も一切不要、「冷や汁」です。
けんちゃん先生が「時短料理の最強クラス」と表現するだけあって、工程はほぼ混ぜるだけ。
サバ缶には、血液をサラサラにするEPAや脳の働きを助けるDHAなど、
栄養価の高い成分がたっぷり。
しかもその汁まで使い切れるのが、この料理のポイントです。

【レシピ】(2人分の目安)
サバの水煮缶    1缶(缶汁ごと) 
水         適量(缶汁と合わせて200ml程度) 
味噌        大さじ1〜2(お好みで)
木綿豆腐      1/2丁 
きゅうり      1本 
ミョウガ・青じそなどの薬味  適量 
ご飯        2膳分 

【作り方】
①サバ缶の汁と水を合わせ、味噌を溶かす
サバ水煮缶の缶汁と水を合わせ、味噌を混ぜ溶かします。
時間があれば、味噌をトースターなどで表面に軽く焦げ目をつけておくと、
香ばしさがアップします。
②冷蔵庫で冷やす
味噌を溶かしたスープを冷蔵庫でしっかり冷やします。
ここで冷やすことで、夏ならではのひんやりとした食感が生まれます。
③具材を加える

ご飯にたっぷりかけて完成した冷や汁
冷えたスープにサバの身、水切り不要の木綿豆腐を崩して加えます。
木綿豆腐は絹ごしよりもたんぱく質が多く、栄養面でもおすすめです。
輪切りにしたきゅうり、ミョウガや青じそなどの薬味もたっぷりと。
④ご飯にかけて完成
冷えたご飯に、冷や汁をたっぷりかければ出来上がりです。

「お酒と塩で漬け込んでいるので、外がパリッと中がしっとり」

下ごしらえを終えた鶏肉を天板に並べていく
オーブンが鳴り、唐揚げが焼き上がりました。
津山リポーターが一口食べ、表情が変わりました。
「パリッパリッ。香ばしい。中のお肉は柔らかいですね」けんちゃん先生が答えます。
「お酒と塩で漬け込んでいるので、外がパリッと中がしっとり仕上がるんですよ」。
続けて冷や汁を口にすると、今度はこんな言葉が。
「お味噌のいい香り。その中にサバ缶のお出汁、
そしてお野菜の食感と薬味の香りがたまらないですね」

サバ・豆腐・きゅうりが彩る、夏の「激ウマ手間抜きスタミナ飯」
「切って、お味噌やサバの缶汁と合わせただけとは思えない。
ちゃんと手がかかってるようなね」けんちゃん先生自身がそう感心するほどの完成度でした。

「夏はさっぱりしたものを食べがち」——でも、そこに落とし穴がある

今回の料理で使ったのは、鶏もも肉・木綿豆腐・サバ缶という3食材。
どれも手頃で、スーパーで簡単に手に入ります。
そして大事なのは、食べる側の意識です。
「夏はさっぱりしたものを食べがちですが、栄養不足だと熱中症になりやすいです。
特にたんぱく質、しっかり取ってくださいね」
番組の締めくくりで、津山リポーターはそう呼びかけました。
そうめんやお豆腐だけで乗り切ろうとする夏。
その「さっぱり志向」が、実は体を追い詰めているかもしれません。
けんちゃん先生はこう言います。
「これなら手間抜きだから、作ってみようかなってなりますよね」。

もうすぐ夏休み——子どもと一緒に作ってみては

今回紹介した2品は、どちらもお子さんと一緒に作れる料理です。
袋に鶏肉を入れて塩と酒を加え、よくもみもみする作業。
冷や汁のきゅうりを切って、サバ缶の汁を味噌で溶かす作業。
包丁の扱いに注意しながら、小学生でも十分に参加できる工程ばかりです。
手間を抜くことは、手を抜くことではありません。
暑い夏だからこそ、賢く台所と向き合う。
栄養と愛情をたっぷり込めた料理で、この夏を元気に乗り越えましょう。