のJチャンやまぐち
【県民サーチ】「5千円がすぐいっちゃう」――9月、4531品目の値上げラッシュが家計を直撃する
「買わなくなったものや、手放したものはありますか」
その問いかけは、画面の向こうの視聴者にも、静かに刺さる言葉だった。
「今年最大」――9月の値上げは4531品目
値上げの波は、止まらない。
9月に値上げされる飲食料品は、今年最大となる4531品目にのぼる見通しです。
帝国データバンクのデータをもとにした月別グラフでも、9月の棒グラフだけが突出して高い。
4000品目を超える値上げは、2023年以来じつに3年ぶりのことです。

山口市内のスーパーで、津山奈穂子リポーターが店長に話を聞きました。
「冷凍食品の値上げが予想されております。5%から20%ほど値上げを予定しておりますが」
「20%は大きいですね」
「そうなんですよ」
食卓に欠かせない冷凍食品が、最大で20%上がる。そればかりではありません。
コカ・コーラ社の飲料品など飲料・酒類を合わせるとおよそ460品目。
キッコーマンの醤油が最大20%以上、
だしや味噌などの調味料を含めればおよそ1900品目が値を上げます。

飲料棚に並ぶペットボトルを眺めながら、
「これも上がるのか」と思わずにはいられない光景です。
「調味料、倍以上になってると思うんですよ」
さらに、肉類も高騰しています。
店長によると、豚肉は100グラムあたり10〜20円、鶏肉は100グラムあたり20〜30円、
前年比で値上がりしているといいます。
農水省の価格動向調査でも、
国産豚ロース肉は100グラムあたり290円、国産鶏もも肉は156円と、
ともに過去最高価格を更新しました。

円安による輸入コストの増加と、飼料の高騰が背景にあります。
スーパーの店内で声をかけた80代の男性は、
眼鏡の奥に困り顔を浮かべながらこう言いました。
「調味料がね、ものすごく高くなってるんですよね。
倍以上はなってると思うんですよ。それはちょっときついですね」
「質より量。値段、すごい気にするようになっちゃった」
50代の女性客は、食べ盛りの男の子が3人いると教えてくれました。
「鶏肉とか、胸とか好んで子どもたちが食べたがってたんで。
でもそっちも高くなってきちゃったんで」
物価高の前では、子どもの好みよりも値段が優先される。
商品を選ぶ基準が、静かに、しかし確実に変わっています。

「質より量だし。値段、すごい気にしますね。気にするようになっちゃった」
以前は3000円で済んでいた買い物が、今は5000〜6000円にすぐなってしまうといいます。
差額にして月3000〜5000円。小さいようで、積み重なれば家計に重くのしかかります。
「苦肉の策」で白いトレイに変えた
値上がりは食材だけではありません。
中東情勢によるナフサ不足で、包装資材も高騰が続いています。
同店ではコロッケを販売する黒いトレイを、色のない白いトレイに切り替えました。
「昔はこういう柄がついてたトレイだったのを、
苦肉の策でこういう無地のトレイに変えて、なるべく価格を抑えるっていう形にしております」

白いトレイにするだけで、1パックあたりおよそ20円安くできるといいます。
消費者には見えにくい部分で、売り手もまた、ぎりぎりのやりくりをしていました。
惣菜をやめ、車を手放し、ビールを500mlから350mlに
では、買い物客たちはどう対処しているのか。
街の声を聞くと、それぞれの「生活の知恵」が見えてきました。
「お惣菜をすぐ買っちゃうけど、結構高いもんね。
1000円すぐ来ますから、それを倹約。なるべく自分で調理するようには」
「ちょこちょこ買いをやめて、まとめ買いしてますね。
子どもも生まれて消耗品が多くなってるので、ネットのセールのときにまとめて。
ポイントが2000円とかつきますね」

なかには、車そのものを手放した70代の男性も。
「ガソリンと税金と維持費が……」
免許はあるが、車を返納して自転車生活に切り替えた。
その結果、月に1万円弱の節約ができているといいます。

また80代の男性は、妻から「お酒は買ってきて家で飲みなさい」と言われているとのこと。
飲む量も、缶ビール500mlから350mlに減らしました。
「本当に減っていますね」
その言葉は、笑いを交えながらも、どこか切実でした。
値下がりも――新米は去年より1600円安く
値上げ一色のなかで、明るい話題もあります。
お米です。
同スーパーでは、宮崎県産コシヒカリの新米5キロを3219円で販売。
去年の4839円と比べて、およそ1600円安くなっています。

また、高騰が続いていた鶏肉・豚肉も、
最高値から少しずつ落ち着きを取り戻しているとのことです。
スーパーまるきの松西さんは
「来店者数は減っていなくても、購入される品数が減ってきている」と話しました。
買い控えは数字にも、そして肌感覚にも、はっきりと表れています。
なお同店では、9月に値上げが予定されている冷凍食品の店頭価格を
10月まで据え置く対応を取るということです。
何を買って、何を手放すか
10月には酒税改定に伴い、発泡酒やチューハイが増税・値上げとなる可能性もあります。
値上げの波は、まだ終わりが見えません。
「何を買うか、買わないか」という選択が、日々の買い物に重くのしかかる時代。
惣菜を自炊に変え、車を手放し、ビールの缶を小さくする――
そんな小さな決断の積み重ねが、今の暮らしを支えています。
物価高騰は、数字だけの問題ではありません。
それは、一人ひとりの食卓と生活の形を、少しずつ変えていくものなのです。


