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【県民サーチ】36万円のスマホが映す現実「中古でいい」が当たり前になる日

「手は出せないです。欲しい気持ちはありますけど」
街で出会った男性は、そう苦笑いした。
9月、Apple が発表した折りたたみ式スマートフォン「iPhone Duo」。
最も安いモデルで36万4800円、最上位モデルは57万4800円にのぼります。
スマホ1台が、かつての家電製品と同じ重みを持つ時代が、
静かに、しかし確実に到来しています。

スタジオに映し出された価格帯。赤字の数字が視聴者に現実を突きつけた
「ボディブローみたいなの来ますよね」
山口県内の街角で、津山奈穂子リポーターがマイクを向けると、
人々の本音がにじみ出てきました。
50代の男性は黄色いTシャツ姿で腰に手を当て、
「サイズと容量と値段」とぽつりと答えました。
派手な機能への関心はなく、
生活に必要な分だけあれば十分だという率直さが、その立ち姿から伝わってきます。

「サイズと容量と値段」——50代男性の答えはシンプルで率直だった
家族4人分のスマホ代が月々およそ2万円にのぼるという別の男性は、
5年間スマホを買い替えていないと話しました。
「ボディブローみたいなのが来ますよね。
1台3万、2万かと思っていたら、だんだん積み重なって……」
その言葉には、
値上がりが続く物価の中で家計を守ろうとする人々の切実さが宿っていました。

中古市場に向かう人々の足
そうした状況の中で、いま注目を集めているのが中古スマートフォン市場です。
昨年度の販売台数は360万台以上と過去最高を記録し、
7年連続で最高を更新し続けています。
今年度はさらにそれを上回るペースで推移しているといいます。

ガラスケースに並ぶ中古スマホ。「SALE」「10% OFF」のポップが客を引き寄せる
取材班が訪れたゲオ イオンタウン周南久米店では、
中古スマホがガラスケースにずらりと並んでいました。
価格は1万円以下のものから20万円を超えるものまで幅広く、
なかでも3万円から6万円台の端末がよく売れているといいます。

人気機種は、4年前に発売されたiPhone 14が6万5780円。
iPhone以外ではXperia 10 Mark IVが2万5080円で並んでいます。
「新品価格が上昇していまして、
購入される際に中古スマホを検討されるお客様が増えてきております」
店のスタッフはそう話しました。

「バッテリーの持ち具合が気になる」
別の店では、小学生の娘に初めてスマホを持たせようとするお母さんが、
ショーケースをのぞき込んでいました。
「新品は高くて、子どもが持つんだったら中古でいいかなと思って」
ただ、気になることがあると続けます。
「バッテリーの持ち具合とかはちょっと気になったりとかはあります」
中古スマホを選ぶとき、多くの人が気にするのは価格よりもバッテリーだといいます。
店のスタッフは「80%を基準にしていまして、
80%以上あるものであれば通常どおりに使っても違和感はないかなと」と説明しました。

データ漏えいの不安にも答えが
安さへの関心と同時に根強いのが、個人情報の流出への不安です。
ゲオ イオンタウン周南久米店では、
買い取ったスマートフォンについて専門の機械を使ってデータを消去しており、
「データの漏えいなどは全く心配いらない」と明言しています。
津山リポーター自身も、以前ゲオでiPhoneを売却した経験があると話しました。
「自分でデータを消去して、
行ってからSIMカードを抜いているか確認があって、すごく安心でした」と振り返ります。

店員と客が向き合い、丁寧に説明を受ける。安心感も中古市場の魅力のひとつ
今あるスマホを”資産”に変える
新しい機種に少しでも安く乗り換える方法として注目されているのが、
今使っているスマホの下取りです。

「下取りで買い替えの足しに」——カバーや付属品の保管が査定額を左右する
高く買い取ってもらうためのポイントは二つ。
カバーやフィルムでスマホ本体をきれいに保っておくこと、
そして充電器などの付属品を大切に保管しておくことです。
取材に応じたある女性は、
以前スマホを下取りに出した際に
「2万円くらいは安くなったような記憶がある」と話しました。
さらに注意が必要なのは、
時間の経過とともに買い取り価格は徐々に下がる傾向があるという点です。
使わなくなった端末は、早めに査定に出すのが賢明だといいます。

「思い出をたくさん撮れたらいい」
街の人々の言葉の中に、時代の変化がにじんでいます。
「昔はただただ最新機種が欲しかったんですけど、
今はもう、子どもがきれいに撮れたらいいなって思うけど、
やっぱりその分高くなっちゃって」
赤ちゃんを抱いた20代の女性は、
携帯ショップで購入した自分のスマホを手にそう話しました。
人に聞きながら買える安心感を選んだといいます。

赤ちゃんを抱きながら「思い出をたくさん撮れたらいい」と語った20代女性
36万円を超えるスマホが店頭に並ぶ一方で、
人々が求めているのは最先端の技術よりも、日常のひとこまを切り取れる一台です。
中古市場の拡大は、単なる節約志向の表れではないのかもしれません。
価格と機能と安心のバランスを、それぞれが自分なりに問い直している——
その積み重ねが、いま中古スマホ市場を動かしているのです。