のJチャンやまぐち
やまぐちの底力 精密加工とアイデア「コマ」に注ぎ込む 増田工作所
下松市の「増田工作所」は
半導体製造装置など精密機器に使う金属部品を製造する会社です。
しかし、従業員の増田徹さんたちは、金属の「コマ」製造にも力を入れています。
全日本製造業コマ大戦という自社の技術を試す全国規模のイベントに出場し、
勝利するためです。
コマ大戦は、直径2センチ、高さ6センチ以下のコマを土俵の上で回し、
相手のコマより長く回り続けた方の勝ちというルールです。
素材や重さ、形に決まりはなく、
加工技術やアイデアを駆使した逸品で、全国の製造業者が誇りをかけて戦います。
優勝すると、ライバルたちのコマを総取りできます。
増田工作所はコマ大戦に山口県から唯一出場しています。
これまでの優勝は6回を数え、
大会成績を年度ごとに集計したランキングでは
昨年度3位に入るなど全国屈指の強豪です。
増田工作所がコマ大戦に出場するようになったのは2013年。
増田さんは
「最初はなめてかかっていたが、強い人に負け、やり返さないといけないと思うようになった」
と勝つ方法を考えるうちに奥深い世界に魅了されていきました。
増田さんは、硬くて重い金属、「タングステン」を本体に使用して、
当たり負けしない重量級のコマで主に戦っています。
このコマは小さな6つの部品でできています。
プログラム通りに機械で削って作る部品もありますが、
中には手動の旋盤を使わないと削れない部分もあります。
100分の1mmの誤差できれいに回転しなくなるので、
手動の旋盤を使った部品の加工は神経を使う作業です。
最近、軸にバネを付けるアイデアを採用しました。
バネがサスペンションの役目を果たし土俵際の粘りを生むそうです。
増田さんは
「コマを製造するときに難しい加工があるので、仕事に転用できる」と、
コマ大戦への挑戦が本業にも役立っていると話す。