Jチャンやまぐち

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やまぐちの底力 「匠山泊」

山口市にある山口井筒屋の一角に並ぶデニム製品。
細部にまでこだわった個性的なデザインと、
履きやすさが追究されています。
さらに使われている素材はすべて国内産です。
値段は少しお高めですが、これらの商品を求めて
県外から訪れる人も多いというこのブランド。
作っているのは、山口市の会社です。

JR山口駅のすぐ近くに本社を構える匠山泊。
従業員は30人ですが、
その高い加工技術は世界から一目置かれる存在です。

この会社を立ち上げたのは、会長の岡部泰民(おかべやすたみ)さん。
県内に7つの工場を持っていたアパレルメーカーで
生産の仕事におよそ40年たずさわった服飾のプロフェッショナルです。
そんな岡部さんが、日本のアパレル業界の将来を見据え、
活動を始めたのは2000年頃からだと言います。
当時は衣類の生産拠点を海外に移す流れが年々激しくなり、
いわゆる産業空洞化が進んでいました。
昔は山口県にも縫製工場がたくさんあり、
高い技術を持つ人たちはたくさんいるのに、
その方たちが活躍する場が失われていった。
そんな技術者の活躍の場を作るため、
2005年に「匠山泊ブランド」が立ち上げられました。

こちらは、
国内の衣料品の輸入の割合を調べた経済産業省のデータを見ると、
2000年の時点で80%を超えていた輸入の割合が
その後も増加の一途をたどりました。

そんな中で「匠山泊ブランド」は、すべて国内産の材料を使い、
1点1点手作業で仕上げた『純国産ジーンズ』を
2007年から2009年にかけて、
スペインやフランスで開催されたヨーロッパ最大の見本市に出展。
するとその品質は世界中から高い評価を受けたのです。

そうして2013年に、現在の合同会社・匠山泊が設立されました。
高い技術力を活かして、オリジナルブランドはもちろん、
誰もが知るような有名メーカー・ブランドの生産も請け負っています。

また大手ブランドとのコラボ製品には「メイドバイ匠山泊」の文字が。
コラボ商品として、会社をPRする役割はもちろんですが、
製品への自信の表れとも言えます。

こうして、アパレル業界で確固たる地位を築いている匠山泊が、
いま力を入れているのが技術の伝承です。
匠山泊には70代から20代と幅広い世代の技術者がいて、
日常の業務の中で技術の伝承が行われています。

最後に、岡部会長が大切にしている言葉は「おもしろく生きる」。
高杉晋作の「おもしろきこともなき世をおもしろく」の通り、
服飾の世界で使命感を持って
「おもしろく生きたい」と思っていらっしゃるそうです。