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やまぐちの底力  「宝計機製作所」

今から60年ほど前に周南市の徳山動物園で撮られた一枚の写真。
子どもたちの人気者・ゾウの体重を測っている様子です。
台座をよく見ると「宝のはかり」の文字が…。
この体重計を作ったのは、柳井市にある計量器メーカーです。

柳井市にある「宝計機製作所」。
従業員はおよそ50人で、今年、創業70周年を迎えました。

取り扱っているのは、主に法人向けの業務用のはかりで、
商品は20キロ〜30キロ程度の物を測る小型の計量器から、
数十トンの重さを測るものまで幅広く、
自社で設計から製造・販売までを一貫して行なっています。

そんな中でも、年間1000台売れるという人気商品「分太Ⅱ」は、
農作業を効率的に進めるために開発された商品で、
減った重さでサイズを判断して音声と表示でサイズを教えてくれます。

宝計機製作所は、太平洋戦争の後、
朝鮮半島から引き揚げた初代社長の政田敏雄さんが、
昭和25年に計量器を修理する会社として設立したのが始まりです。
その後、手動の台ばかりの専門メーカーとして全国展開し、
昭和40年代後半には、
現在の主流となっているデジタルのはかりの製造にも進出しました。
現在の政田洋平社長は敏雄さんの孫で、3代目の社長です。
ただ、アナログのはかりが売れなくなり、
デジタルのはかりへと事業転換する時には廃業の危機もあり、
自然薯を栽培する事業で経営のピンチをしのぎ、
その後の会社を支えた商品の開発を行なっていた時期もあるといいます。

そんな宝計機製作所の商品に、
全国シェアで2位を占めているものがあります。
それが、プロパン容器に自動でプロパンガスを詰める機械です。
下松市の高山石油ガスでは、
毎日500本から1000本のプロパンガスの充てん作業が行われています。
宝計機製作所では、専門分野である計量器に加え、
バーコードを使って、
どのプロパンにそれだけのガスを充てんしたかなどの記録を
全自動で行えるこの装置を全国に販売しています。

この日、県の宝計機製作所を県の職員が訪れました。
行なわれるのは出荷する商品の検査です。
はかりの中でも、特に精密さを求められるものについては、
法律で県の検査が義務付けられています。
県の職員が見つめる中、小さな分銅を載せたり下ろしたりしながら、
表示される重量値が適正な範囲に収まっているかを検査していきます。
作業は、おもりの重さや置く場所を変えて何度も繰り返し行われます。

この作業を終えて、県の検印が押されて初めて
「正確なはかり」というお墨付きがもらえるのです。

最後に、政田社長に大切にしている言葉を書いていただきました。
「迷ったらやるです。
人は迷うとできない理由を考えがちになるんですけど、
そういう時にはやるべきじゃないかと思う」
たとえば開発では数百万から数千万円のコストがかかることだが
それをやることで次につながる第一歩になると思います」

【問い合わせ先】
宝計機製作所
住所:柳井市柳井3889
電話:0820-22-0389