のJチャンやまぐち
やまぐち未来人 「地域の生産者の立役者 西倉慎顕さん」
今回のやまぐち未来人の主人公は、
食の身近な相談所代表の西倉慎顕(にしくら・みつてる)さんです。
西倉さんは奈良県出身で、
山口大学大学院農学研究科を卒業後、
三重県の食品メーカーで商品開発を行っていました。
地域の特産品開発に携わりたいと漠然と夢を持っていた西倉さん。
2015年7月に山口市南部地域の特産品開発をする
地域おこし協力隊に着任したことが転機となりました。
地域おこし協力隊として3年間、
山口市南部地域の食に関する支援活動を行った後も山口にとどまり、
山口市秋穂東に「食の身近な相談所」を設立。
商品開発や品質管理、また申請書の作成など
生産者や加工者が抱える食のありとあらゆる悩み相談に応じています。
相談事の一つ、商品開発では、
これまでリニューアルも含めて70以上の商品に携わりました。
西倉さんが今、
商品開発に携わっている山口市阿東篠目の浜安力梨園は、
三世代にわたり100年近く梨の栽培を続けています。
西倉さんが商品化に携わったのが、
2種類の梨のセミドライフルーツ。
梨の食感を程よく残して乾燥させたおやつにぴったりの商品です。
商品化に至るまでおよそ1年半。
加工所を作る計画や保健所とのやりとり、井戸水の検査など、
浜安さんの様々な相談に西倉さんは一つ一つ丁寧に応えてきました。
梨園の浜安満子さんは
「西倉さんが全部動かしてくださるから、
どんどん話が進んで本当に助かって、
色々聞いてくださって本当に良かったと思っています」
と話していました。
西倉さんが相談を受ける時に大切にしていることは―
「本当に困っていることであるとか、
本当にしたいことを語ってもらうには、
まず信頼関係の構築からになるので、
何回も何回もお話をしに行く、
聴きに行くということをやっています」と語ってくれました。
商品開発のきっかけとなったのは
浜安さんの農園で昔から大切にされてきた
“晩三吉”という酸味のある品種の梨。
甘い梨が人気を得る中、市場価値が下がった晩三吉を
もう一度生まれ変わらせたいと商品化にむけて試行錯誤しました。
セミドライフルーツにすることで
味が凝縮され酸味がアクセントになり
深みのあるものに仕上がりました。
西倉さんは、
「浜安さんにとってすごく長い間愛着を持ってきたものが、
商品に生まれ変わる時に側にいれたことは、
僕にとっても幸せなことだと思います」と話します。
西倉さんの名刺には
“地域の潜在的なヒーローを顕在化する仕事”と
食の身近な相談所のコンセプトが書かれています。
また一人、地域のヒーローが私たちの前に姿を表しました。
食の身近な相談所は、ホームページも看板もありません。
西倉さんが地域おこし協力隊時代に培った人脈をもとに
生産者の思いをしっかりくみ取って信頼を築く中で
少しずつ、口コミで広がりました。
西倉さんは、これからの目標を次のように語ってくださいました。
「もともと僕が本来やりたいのは地域の生産者や加工者、
そして販売者が今何をしているのかを
しっかり皆さんが把握できるようなネットワークを作ることです。
地域の輝いている人たちが周りの輝いている人たちのことも知って、
総合的にこの地域というのは、
あの人もいる、この人もいる、こんな人もいる、
そういった魅力ある地域に育っていっていただければと思います。」
◆食の身近な相談所
西倉慎顕(にしくら・みつてる)さん
TEL:080-3133-4138