【山口】おしりで守る子どもの命 車両への閉じ込めを防ぐ 啓発ステッカーを作成
こちらの子どもがおしりを突き出すポーズ。子ども自身が身を守る手段の一つです。
【元幼稚園教諭・古賀あさ美さん】
「大人のミスで子どもの命が奪われてしまう。じゃあ子どもが自分で自分の命を守る方法を知るっていうことが大事なのではないか。」
下関市の元幼稚園教諭の古賀あさ美さん(46)。市民団体「tetote」を立ち上げ、子どもが車内放置で死亡するのを防ごうと仲間と活動しています。
園児がバスや車の中に取り残されたまま熱中症などで死亡する痛ましい事件。残念ながら毎年のように全国各地で起きています。炎天下の車の中、過去に番組が行った実験では、クーラーを切った15分後に車内の温度は4度上昇しました。1時間後には40度を超え、外の温度よりも高くなりました。ドアが閉まった車内では、泣き叫んだり大きな声で助けを求めても外には聞こえません。悲劇を防ぐために何かできないかと考えていた古賀さんの目に留まったのが、テレビのニュースでした。
【元幼稚園教諭・古賀あさ美さん】
「韓国で園バスにはもう装置がついていて、定期的に子どもたちがクラクションをお尻で押すっていう訓練をしているというニュースを見て、なぜ日本はどこの園もしていないんだろうかって。」
力が弱い子どもでも、おしりだと自分の体重でクラクションが鳴らせます。そのことを園児が知るためにも、日ごろから訓練をするのがいいと考え、古賀さんたちは「おしりクラクション」を啓発するステッカーを作りました。
【元幼稚園教諭・古賀あさ美さん】
「SNSでみなさんに呼び掛けをして、4000枚配れることになったのでご寄付いただけませんか?っていう発信を1週間したところ、目標金額だった8万円を達成することができた。」
ステッカーは6月末に下関市内で開催される園長会で配る予定です。
全国には静岡県の事件を受け、2022年に子どもがクラクションを鳴らす訓練を行った施設があり、保護者からも良かったという感想があがりました。一方、危険性の認識とドライバーの行動に隔たりがあることを示すデータがあります。置き去り検知システムを取り扱う三洋貿易は、2023年に子どもの車内置き去りに関する調査をしました。小学生以下の子どもを乗せて運転するドライバー3377人のうち、91.6%が、毎年のように子どもの熱中症事故が起きていることを認識している一方で、78.9%が無意識の置き去りを防ぐ対策をしていませんでした。
古賀さんはステッカーを配ることがゴールではなく、子どもたちの命を守る社会づくりのスタートと話します。
【元幼稚園教諭・古賀あさ美さん】
「運転席って基本子どもたちは入ってはダメだって言われているので、危機的状況になっても子どもたちは入ってはダメって思ってしまうので、危機的状況の時はここに入ってここに座るんだよっていうのをぜひ訓練をしてほしいなと思います。外に発信するSOSはもうクラクションしかない。最後に自分の命を守るための手段だと思っています。」
子どもの命を守るための、おしりでクラクションのステッカー。子どもだけなく大人たちの意識改革につながってほしいと古賀さんたちは期待を込めています。
UPDATE:2025-05-21