fix you(楢﨑瑞)
fix you(楢﨑瑞)/9月11日 vs 岡山(●0-1)
fix you(楢﨑瑞)
9月11日 vs 岡山(●0-1)
「この舞台でもやれる」手ごたえを掴んだ相手との再戦は
「この舞台の本当の厳しさ」を知ることになったのかもしれない。
混戦模様のプレーオフ争い。
その1点を、その1勝を奪いに来る気迫。意志。
シーズン終盤、はっきりと姿を現した「執念」という怪物。
ゴールに吸い込まれていく決勝点と、生き物のように揺れるスタジアムに
このリーグの本当の厳しさを見たように感じた。
「お互い必死。相手も、ウチも。そういう緊張感の中で戦っているんだなと」
ちらりとピッチに視線を向け、言葉を選びながら話す島屋八徳。
「シーズン序盤とは違う種類の緊張感というか。そういう(昇格争いの)中にいるという実感が強くある」
初めてのJ2。プレーオフ争い。すべてが未知の世界。
目に見える疲労と、目に見えない重圧を、ピッチでひしひしと感じているのかもしれない。
「そりゃ、疲れていないといえば嘘になりますよ。でも、だからなんだと。上に行くために戦っているんです。僕らは。
全力でやっているというのは最低限。だからって負けていいはずがないですから」
全試合に出場。不動のSBである小池龍太は疲れを認めつつ、それを理由にすることを極端に嫌がる。
「勝たないと。これだけたくさんの人が応援してくれているんですよ。勝たないと」
まだあどけなさの残る21歳の若武者の目には
アウエー側スタンドを鮮やかなオレンジに彩った「これだけたくさんの人」がはっきりと見えたのだろう。
「頑張っている」「最後まで全力でやっている」というのは「勝ってこそ」だと、小池は言う。
確かに、プロである以上、彼らは「勝たなければならない」
ただ同時に、プロであるからこそ、リーグだからこそ、「次」がある。
この敗戦を糧に、リベンジする「義務」と「チャンス」が彼らにはある。
レノファも、見守る私たちサポーターも、
それを繰り返して、いまこの舞台に立っている。
「アウエーなのに、サポーターがすごく多くて。めちゃめちゃ声も聞こえてきたし、力もらってます」
この試合、何度もピンチを救った村上昌謙が言う。
「応えるには勝つしかない。いいプレーとかじゃない。勝ちたい。1点だって取られたらダメなんですよ」
この1年半、ずっとレノファを見てきた。
取材者として、ひとりのファンとして。
だから今、あえて言いたい。
山口にはレノファがある。
レノファにはあなたたちがいる。
どんな試合でも、どんな時でも
拍手と声援をくれる、あなたたちがいる。
そしてその声は橙の熱気となり、彼らに届いている。
この敗戦の「意味」は大きい。
ただ、その「意味」はネガティブにもポジティブにも変えられる。
およそ2か月ぶりの出場となった、エース・岸田和人の言葉に熱がこもる。
「おかえり、という声をたくさんもらった。でも負けた。
負けてしまったら、自分が久々にプレーしたとか、そういうことに意味は無い。
自分が点を決めて、勝ってこそ、J1にみんなを連れていってこそ、【帰ってきました】と言える」
さあ、残り11試合。
リベンジの「義務」も「チャンス」もまだまだ残っている。
選手を支えるサポーターの熱気があり、それに応えようとする選手がいる。
恐れるものなど、何もない。
さぁ、今こそ、やってやろう。「みんなで」