10月17日 vs徳島 【Voice】(楢﨑瑞)
10月17日 vs徳島 【Voice】(楢﨑瑞)
10月17日 vs徳島 【Voice】(楢﨑瑞)
「気持ちを見せなきゃいけない。サポーターの方を向いて、サッカーで気持ちを見せないと」
第34節(vs熊本)終了後、岸田が憤っていたのは、敗戦だけが理由ではない。
「試合に出て当たり前、サッカーができて当たり前。そういう気持ちが、僕も含めてどこかあった」
「当たり前を当たり前だと思わないように。危機感と感謝を持ってやらないと。気持ちを見せないと」
JFL、J3でチームを何度も勝利に導いた絶対的エースの胸に去来するもの。
それは純粋なまでの「サッカーへの欲求」
「ケガをして出られなかった。情けなかった。でも、「出て当たり前」という気持ちだった。
サッカーができる、応援してもらえることが有難いと感じるようになった」
だからこそ、求める。
試合を、得点を、勝利を、サッカーを。
「きょうもたくさんの声援をもらった。いつも本当に力をもらっている。これ以上サポーターに要求するのは申し訳ない」
同じく第34節の終了後。
プレーと明るさで、サポーターを鼓舞する島屋は、神妙な面持ちで言う。
「その応援に応えられるように。まずは戦う姿勢を見せたい」
そして去り際に言う。
「勝たないと。結果出さないと」
だからこそ、信じる。
自分たちの力を、積み重ねてきた経験を、支えてくれる「声」を。
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ビハインドで迎えた後半。
金沢戦よりも、熊本戦よりも、岐阜戦よりも強く感じた、
「何かが起きるんじゃないか」という期待。
記者席で見ていた私には、
岸田の言う「気持ち」が、
島屋の言う「戦う姿勢」が今までに増してプレーに表れたからだ、と感じた。
福満が蹴り出したボール。
追いつけない。そう思った刹那、安藤が走りこんだ。
ギリギリで追いつく。
小池がいる。左足からの放たれた軌道が斜線を描く。
中山に収まる。望月が走りこんでくる。
左足。振りぬく。
「後半は特に声援の後押しが凄かった」と振り返った、望月の勝ち越しゴール。
決して綺麗に決まったシュートではなかった。
ただそれは、諦めず、最後まで走り続けるサッカーを体現した選手たちが起こした、「必然」。
科学的根拠のないものを妄信的に信じるのは好きではない。
ただ、この勝利は、
選手たち「の」諦めない気持ちと、
選手たち「を」諦めない声の結晶だと信じている。
久々の興奮
久々の歓喜
久々の笑顔
科学的な根拠は無い。
ただ、スタジアムにあふれた、興奮と、歓喜と、笑顔、そして時々、涙。
選手とサポーターの力の結晶だと信じるには、十分すぎる理由だろう。
それが「維新劇場」なのだから。
あえて言う。
レノファには、負ける日や勝てない日々が必ずやってくる。これからも。
もっと長いトンネルに入ることもあるだろう。
それでも、だいじょうぶ。
「気持ち」と「戦う姿勢」。
そしてそれを支えるあなたたちがいる限り。
いつもクールな庄司悦大が、ヒーローインタビューで叫ぶ。
「残り試合全部勝ちます」「応援が力になる。一人でも多くの人に来てほしい」と。
新たなトンネルを抜けるたび、また強くなる。
その積み重ねが歴史になる。
いくつ目かのトンネルを抜けるとき、
そこには、夢見ていた光景が広がっているはず。
時には立ち止まりながら、歩いて行こう。みんなで。
ようこそ。維新劇場へ。