10月26日 vs長崎 【Unbreakable】(楢﨑瑞)
10月26日 vs長崎 【Unbreakable】(楢﨑瑞)
10月26日 vs長崎 【Unbreakable】(楢﨑瑞)
「そうですね…」
質問を受けて、言葉を発するまで。
そこに独特の「間」がある。
その、「間」のあとに発せられる言葉はいつも力強く、
感情的になることはほとんど無いように見える。
ひとつひとつの言葉に命を吹き込むように、
あるいは、自らが発する言葉の意味を確かめるように、
彼は言葉を発する。
「勝つしか、道は開かれない」
ただ、この日、
いつもよりも「間」を置かず、庄司悦大は言葉を紡いだ。
表情に変わりはない。
ただ、いつもより少しだけ熱を帯びているように私は感じた。
残り5試合。
「プレーオフ進出」を目指すならば実に厳しい状況。
「J2残留」を目指すのならば、悪くない状況ではある。
庄司の言葉をどう取るのか。
少なくとも、後者では無いことは明白だ。
再三チャンスは作った。
裏への抜け出しと、ゴール前での細かいパスワーク。
去年機能した、大きな2パターンの組み合わせも見せた。
それでも、
「負けたら意味ない。ほんと意味ない。勝ってこそ意味がある」と福満は悔しがる。
「ゴールを決めたことよりも…すべて自分のせい。本当に申し訳ない」
ゴールを決めた中山は、敗戦の責任を一身に背負おうとした。
J2昇格1年目。現在10位。
十分に評価されるべき成績だと、正直、私は思う。
誤解を恐れず言えば、
プレーオフ進出は現実的に厳しい状況だし、
それでも「十分過ぎるほど頑張ってくれている」と、心から思う。
それでも、彼らは一様に口を揃えて言うのだ。
「サポーターとJ1に行く」と。
それが、彼らの「覚悟」だから。
彼らとて、置かれている状況の厳しさなど理解している。
それでも、
負けていい試合などないから。
それがプロだから。
目の前に戦いがあるから。
僅かでも可能性があるから。
そして、願いの声を届けてくれる、あなたたちがいてくれるから。
だから、彼らは言うだろう。どんな状況になっても。
「必ずJ1に行く」「残りの試合、全て勝つ」と。
それが、覚悟であり、誓いであり、オレンジの声援に対するアンサーだ。
「行けたらいい」で行けるほど、甘い世界ではない、とも思う。
色んな考え方もあるだろうし、それぞれの立場もある。
応援も、サポートも、実務も、それぞれが尊重されるべきだと思う。
ただ、少なくとも私は、
彼らの「覚悟」を、
庄司悦大の、熱を帯びた言葉を、ただ信じていたい。
あのワクワクするようなサッカーを、その躍動を、待ち続けたい。
他の事を考えるのは、終了のホイッスルが鳴った後でいい。
”「選手は」誰も諦めてはいないので。次の試合に向けて、一丸となって戦っていきたい”
庄司が最後に紡いだ言葉には、
いつもの、独特の「間」が戻ってきていた。
ならば、私も諦めまい。
どこまでもついて行こう。その覚悟に。