「とりとめのない思考のメモとして」

「ラスト3戦を前に…」 第39節 金沢戦ハイライト(0-1● @維新公園)


「ラスト3戦を前に…」
第39節 金沢戦ハイライト(0-1● @維新公園)

 

背中を追う讃岐が引き分け、熊本が敗れていたため、差を詰めるチャンスだったのですが…。
とにかく勝ち点が欲しい中で、終了直前だったぶん余計にショックの大きな敗戦でした。
残留争いで苦しい状況に追い込まれたレノファ。
ハッキリしていることは「勝つしかない」ということ。
もちろん悔しくて仕方ないのですが、「あと何勝何分けで…」という星勘定を捨て去り、「考えてもしょうがない!全て勝つ!」という心境に変わった試合でもありました。
開き直りと言うべきかわかりませんが…。

「のこり3つ、全部勝っても降格圏から抜け出せないかもしれない。
でも、たとえそうなっても、目の前の試合を勝ちにいく。それだけですから」

試合後、ミックスゾーンでの雑談の中で。
エース・岸田和人選手の言葉です。
ポツリと、しかし眼光鋭く。

そうだった。
彼の言う「それだけ」が上手くいかないことが多くて、とても大事で、シンプルな部分を忘れていたようです。

たとえ優勝争いだろうと、プレーオフ争いだろうと、残留争いだろうと、
「負けていい試合」など存在しない。

それがプロの世界。

岸田和人という選手は、どこまでも「まっすぐ」です。

「エース」と呼ばれる存在として、彼は、チームの現状に大きな責任を感じています。
「なんとかしたい」「自分がやらなければ」という強い思いも持っています。

ただそれと同じように、プロとして、目の前の試合があり、戦う舞台がある。だから言う。

「目の前の試合を勝ちに行く。それだけですから」

どの順位で、どんな試合をしていようとも、岸田和人という選手は、同じ言葉を紡ぐのでしょう。

「負けていい試合なんかないし、勝ちに行かない試合とかないでしょ。プロなんだから」

これは去年の終盤に話してくれた言葉です。
岸田和人という選手は、どこまでも「まっすぐ」なのです。

「何を当たり前のことを」と思うかもしれません。
ただ、これだけうまくいかないシーズンを過ごす中で、どうも私は、それを忘れていたようです。

どこが勝ったとか、あと何勝何敗でいけばとか、そういうことではなく、
目の前の試合を勝ちに行く。それだけなのです。

余計なことを考えすぎて、ずいぶん遠くを見すぎていたようです。

私は。

プロの世界です。
来年も同じメンバーで戦うことなどあり得ません。
入ってくる人もいれば、去っていく人もいます。

だからこそ、目の前の試合に一喜一憂しながら、目の前の試合を選手たちと一緒に「勝ちに行く」

その一体感が楽しいんじゃないか。
それが「まちにプロチームがある」幸せの一つじゃないか。

目の前の試合、ひと時をスタジアムという場所で共に過ごしながら、ともに笑い、時に泣き、時に憤り…
ぶつかることもあるでしょうが、そうやってともに成長していく。

苦しい時だからこそ、一緒に苦しみ、目の前の試合に、勝利に、一喜一憂しようじゃないか。
残留争いはもちろん嫌だけど、大好きなチームや選手たちと乗り越えていくのも悪くない。

いまはそんな心境です。
苦しいけど、楽しい。

共に乗り越えようと思える存在があることが。

そんな気持ちでコラムを書いている今日は11月6日。
そう。

アウェー・東京ヴェルディ戦での歓喜の勝利の翌日です。
お分かりでしょうか。

どれだけウキウキしながら書いているのか。
背番号9は、笑顔で言ってくれました。
「俺はまだ戦えますよ。あと2試合もあります。走り切ります」

あと2試合。
まだ2試合。

細かいことを考えるのはやめだ。
とことん楽しんで、一緒に戦うんだ。

魂をふるわせてくれる「エース」に魅せられながら、
全力で目の前の2試合を楽しみたいと思います。

たとえ、どんな結末が待っていようとも。

(楢﨑 瑞)

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