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4月3日(木)のYOU!どきっ

【みんなのふるさと】復活!石風呂  周防大島地家室 

石風呂とは岩窟で薬草や木などを燃やして熱気浴を行う施設で、今のサウナのようなもの。
約400年前には始まったといわれ、昭和初期まで活用していた。

    

かつて石風呂は周防大島の島内に約40箇所あり、3月〜4月にかけてよく焚いていた。
田植えや苗植えなどの過酷な重労働に備え、
傷んだ身体を治療して養生していた。
また、座って団欒のできる石風呂は住民の憩いの場だった。

地家室の石風呂は、徳川家光の頃(1841年)の検地帳に記載されているが、
更に昔からあったといわれている。

瀬戸内のものはほとんどが岩盤を掘ってつくる築石式だが、
地家室のものは、岩の側面を利用し、石積みした折衷式のもので珍しい。
第二次世界大戦の頃を境に、
高齢化や人手不足のため維持の難しさから使われなくなり放置されていた。
平成に入り伝統文化の継承のため有志(地家室石風呂伝承会)を中心に焚かれるようになったが、
2015年頃を最後に使われなくなっていた。

東京都出身の垂井綾乃さんは、
カフェで偶然 周防大島を特集した雑誌を目にし興味をもった。
「お試し暮らし」制度を利用し島の自然や暮らし方に接し刺激を受け移住を決断。
地家室に住むことになった。
地域おこし活動に取り組む住民団体の代表、木村庄吉さん(81)から
石風呂を復活したい想いを聞き、興味をもった彼女は、一緒に復活活動に取り組んだ。
地元自治会や地家室石風呂伝承会の協力を得て準備し、
10年ぶりとなる今年(2025年)1月に復活を果たした。
2月、3月にも入浴体験会が開かれた。
地家室の石風呂のそばには川が流れ大師堂(周防大島八十八ヶ所霊場 82番札所)もあり、
神秘的な光景が広がる。

3月の入浴体験会では、大阪公立大学の教授や学生が手伝いや入浴体験に訪れた。
教授の出身が周防大島で、もう焚かれていないと思っていた石風呂の復活を
垂石さんのSNSで知り学生を連れてきた。

◆地家室石風呂伝承会 
TEL:080-3931-7070(垂井)